マインドコントロールされないために(3)
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「血液型占い」について
 「血液型占い」は,おそらく我が国で生まれたものでしょう。そして今では,この占いに関する知識が一般人に浸透して,まるで必須一般教養みたいな存在となっています。

 伝統的な占いには,「易」や「相学(手相や人相)」などがあり,またヨーロッパなどでは,「星占い」や「タロット占い」などがあります。現代の日本ではなぜ「血液型」なのか・・・ということについては,別の稿にゆずりますが,血液型占いは海外では一般的なものではないはずです。

 さて,この血液型占いですが,そのシステムはじつに単純で,しかもおおざっぱです。
 昔,中学や高校の保健の授業で「クレッチマーの性格類型論」というものを習いましたが,仕組みはあれと同じです。
 クレッチマーの分類では,人間を体型によって3つのタイプに分類します。
 すなわち,
  1.【細長型】分裂気質
  2.【肥満型】躁うつ気質
  3.【闘士型(筋骨型)】粘着気質

 です。

 すべての人間を,たった3つのタイプに分けるわけですから,その内容はそれはもうおおざっぱなものになるのは当たり前です。
 血液型占いはこれとよく似ていて,こちらは人間のタイプを4つに分類します。
 すなわち,
  1.【A型】
  2.【B型】
  3.【AB型】
  4.【O型】

 の4つです。人間の性格パターンをたった4つに分類するのですから乱暴すぎます。クレッチマーの分類と同じく大まかすぎますよね。
 同じ占いでも,『周易』などでは,それなりの思想体系があり,それぞれの「卦」(カ)の説明文(卦辞や爻辞)は含蓄に富み,味わい深いものがあります。すなわち「易」を「占い」として頼るというのではなく「哲学書」として読めば,なかなか面白くて,大昔から現代にいたるまで生き残ってきたことにもうなずくことができます。

 一方「血液型占い」には,このような哲学大系は含まれるはずもなく,もちろん血液型と性格を結びつける科学的根拠もなく,いいところはひとつもないように思われます。

 それでも,「いやあ血液型占いは当たってるよ−」と言う人が大勢いることに驚かされます。世の中の大多数の人は,ごく簡単に,ころっとマインドコントロールされてしまうものなのかもしれません。

 マインドコントロールされている人に,「そんな非科学的なものを信じてるの?」などと言ったら大変。必ず,強い反発を受けます。なにしろマインドコントロールされてしまっているのですから,科学的・合理的な説明や質問は受け付けません。

 親切に「それは迷信ですよ」などと言おうものなら,かえってバカにされるか,「変わり者」扱いをされてしまいます。戦時中の「非国民め!」とよく似たパターンですね。

 それでは,この人たちはなぜ「当たっている」と感じるのでしょうか。それには,ごく簡単なカラクリがあるのです。

 昔「よく当たる」と評判の易者がいたそうです。ある心理学者がこの易者に興味を持ち,何人かのアルバイトを雇って,この易者のところに派遣したそうです。その人たちは見料を払って占いをしてもらいます。

 さて,この心理学者はアルバイトの学生から,それぞれ「占い」の内容を報告させます。すると,あることがわかりました。

 面白いことに,すべてのアルバイト学生の報告に共通していたのは,占い師が開口一番に発した言葉です。つまり,占いをはじめて,いちばん最初に言う言葉が決まっていたのです。

 さて,その占い師は何といったのでしょうか?
 わかりますか。

 じつは,その占い師は開口一番,

 「あなたの家の近くには,川がありますね!」

 と言うことにしていたのです。

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[教育催眠研究会]

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